「銅皿裏満盛油」 これは小川忠太郎師範の著書にも記載がありましたが、どのような心持ちで練習、稽古をするのかを語られたときのものだったと思います。

銅皿裏満盛油 小川忠太郎

銅皿裏満盛油

銅の平たい大きな皿いっぱいに入った油を、一滴もこぼさずに運ばなければならない、しかも後ろには刀を振りかざした鬼が、油をこぼそうものなら一刀両断、そういったときの慎重に慎重に事を行う際の心境をあらわしています。ついては日々の練習、稽古をしなければならないということを説かれています。

何度も稽古をしているうちに一つ一つの動作などおろそかにしてしまうことがないように注意したいところです。

これは普段の仕事も含めても言えることで、慣れなどで簡単な作業については気持ちも疎かになってしまうこともあるかと思います。一つ一つの仕事をゆるがせにせず、常の心構えを大切にしたいところです。

世阿弥の記事でも日々の心構えが大切であることを記載しましたが、「平常心是道」です。

その記事でも紹介しました人間国宝の狂言師山本東次郎氏も稽古の際には「一挙手一投足をゆるがせにしない」「立つ、座るなど、それぞれの動作が理想的な動作になっているか、常に意識している」と言われていますが、なかなか常にと考えるとできることではないです。